てんせんめんの長期投資の旅

投資を学び、資産と自分自身の成長を 追及していきます

書評 Invest Like a Guru

gurufocus.comを運営している、Charlie Tianさんによる一冊。北京大学で物理学博士号を取得して、光ファイバーの研究をするためにITバブルに湧くアメリカに来訪。光ファイバー企業への株式投資で失敗したことから、投資に目覚めたそうです。

数々の名投資家の運用スタイルを検討した結果、「良い企業にだけ投資する」というシンプルな結論に達したそうです。Peter LynchやWarren Buffettは、清算価値以下で購入するディープ・バリュー戦略、赤字企業の復活にかけるターン・アラウンド戦略、シクリカル企業への投資など多種多様な投資戦略で成功を収めることができますが、それは達人の話。一般投資家としては、Donald Yacktmanのように、シクリカル企業には投資しないという明確なスタンスの方が、シンプルで参考になります。

Charlie Tianさんの言う、良い企業とは何か?

1、過去10年間(景気サイクルを通して)安定した利益を上がることができたか?
2、高いROICを達成しているか(アセットライトな事業か)?
3、売上・利益が持続的に成長しているか? 

米国企業の2006~2015のバックテスト結果は以下の通りになっています。

1、過去10年間連続黒字だった企業は、3,577社のうち1,045社(29%)のみ
2、1,045社のROIC中央値は6%。ROIC20%以上を達成したのは20%のみ
3、1,045社の10年平均EPS成長率は7%。年率15%以上で成長したのは15%のみ

チェックリストにまとめると、以下のようになります。

1、景気サイクルを通して黒字だったか(2008-2009年を含む)?
2、過去10年の平均ROICは20%以上か?平均ROEは15%以上か?
3、過去10年のEPS年率成長率15%以上か?

1~3全てを満たす企業は、米国でも100社以下。製造業シクリカル企業の多い日本ではもっと少ないでしょう。しかし、それらの数少ない勝ち組にしか投資しないと決めることで投資はシンプルになり、何より時間を味方に付けているので負けにくくなります

今年は、シクリカルなタンカー投資やアウトソーシング、成長性のないエイジス、IPO前に赤字になっていたシンメンテ、などチェックリストから外れた失敗例のオンパレードで耳が痛いです。

"Keep it simple." - Charlie Munger