てんせんめんの長期投資の旅

投資を学び、資産と自分自身の成長を 追及していきます

GAN 3年後の本質価値

昨日のエントリーに引き続き、GANの3年後の価値について考えてみました。

まずは既存市場のNJとPA。コロナ追い風を受けてオンラインカジノ収益が2月から5月に急拡大した後、5月から7月は横ばいで推移しています。今後はどうなるのでしょうか?季節性があるのか、実物カジノ売上を見てみました。NJの実物カジノ収益は例年7-8月に増えていますが、PAには季節性が見られません。NJはアトランティックシティというカジノリゾートに夏休みに来る客が多いのではないかと想定しています。オンラインカジノも成熟市場では季節性がないと予想します。

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次に、オンライン倍率について考えてみました。NJの実物カジノ収益は、月220mm。対して、オンラインカジノ収益は月85mmとオンライン倍率は40%です。一方、PAの実物カジノ収益は月270mmに対して、オンライン収益は月55mmとオンライン倍率は20%です。NJのオンライン倍率は上昇余地があるのか?PAのオンライン倍率も40%まで追いつく余地があるのか?現時点では私には分かりません。実物カジノが再稼働してオンライン収益が下がるリスクもあるので、先行き横ばいという見通しが現実的かなと思います。

GANが成長するには、PAとNJで新規顧客を見つけるか、新しい州への展開のどちらかが必要になります。2020 Q2のPAとNJのオンラインGOR合計は400mmで、GANのアメリカのGORが91mmと、約23%シェアを獲得しています。今回の決算発表で、8月末でFanDuelのスポーツ賭博向けサービスの終了が発表されました。大手顧客の離脱リスクを再認識させるニュースで、株価急落の主因だと思います。一方、Penn NationalやCordish Gamingなど新規顧客も発表されています。DraftKingsの決算説明会でも、自社技術プラットフォームへの移行を目指すとコメントがありました。大手事業者にとって、収益の5%をバックエンド事業者に払い続けることを苦々しく思っているでしょうから、DraftKings同様に自社プラットフォームの開発を志向すると予想されます。一方、中小カジノ事業者はスケールメリットがないので、GANなどのシステムを利用せざるを得ない。長期的には、大手事業者が中小事業者を買収すると同時に、自社プラットフォームへ切り替えると予想します。特に自社プラットフォームを持つ大手事業者であれば、中小事業者を買収してプラットフォームを切り替えることで、利益率が5%も改善する訳ですから、魅力的です。ここも、離脱リスクと獲得チャンスをバランスさせて、シェア横ばいをベースケースと想定します。

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最後に、市場拡大余地です。既存市場横ばいで、年間GORは590mmです。2021年中の市場解禁が予定されているMichiganとOhioでNJやPAと同様の収益を達成できると、2021年のGORは700mmまで成長することになります。Take RateがQ2の6.5%から横ばい前提で、本質価値は$7.2。

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上記強気シナリオ+Take Rate 7%前提で、本質価値は$18。オンライン倍率や市場シェア、Take Rateの条件次第で、高い時価総額を説明することもできます。しかし、現在の$20を超える株価は、強気シナリオも超えており、売却判断になります。

このような具体的な分析を怠り、株価上昇に浮かれてQ2決算をまたぎ、株価-20%の急落に見舞われてしまいました。冷や水をかけられてから我に返って分析してみるのは、いつものパターン。当初の想定では3年後の本質価値を$20と見込んで投資していましたが、$20を超えてもさらなる上値を期待して保有を続けてしまいました。神戸物産など優良企業を早く売り過ぎたトラウマが残っています。売りは難しいです。市場が楽観に満ちている時ほど、自分も含み益で気持ちが大きくなっているときほど冷静になるには、どうすればいいのでしょうか?ブログを書くことで、少しは客観視できるようになると良いのですが。